故富木謙治先生(kenjiTomiki,前早大教授、早大合気道部創設者、講道館柔道八段、星武館合気道八段、警察大学、国士舘大学、日体大各講師)は、もし堀川先生が東京でもう少し早く合氣柔術を広めておられたらば、今の合気道界の勢力分布は全く変わっていたであろうと言っておられたし、和道流空手道名人大塚博紀先生も「堀川名人の術には全く敬服するほかなし」と、よくあれ程の修練をされたものと言われた。名人は名人を知ると言うことであろう。

富木先生が昭和47年(1972)幸道会の堀川先生を早稲田大学にお招きして講習会を開催した。その技の動きを目のあたりにしたところ「固め技は本当にすごい」
が植芝先生の丸い動き(円転滑脱Entenkatsudatsu)とは種類が違うものだ。と感じられて、そこで「植芝先生は柔道くさい、起倒流くさいんだ」
と言う結論に至るわけです。富木先生の言うには、柔道には半分やり残したものがある。今の柔道はまだ半分なんだよ。嘉納先生は半分残されたんだ。と及ばず乍ら今、自分がその研究をしている。「残り半分をやらなかったら、姿三四郎(Sugatasanshirou)のようにはなれないんだよ」と姿三四郎(西鄕四郎)の柔道は、今の柔道では出来ないと言うんです。富木先生にとって競技柔道は学生時代だけでもういいというか。。。富木先生は昭和2年(1927)から植芝盛平先生に合気道を習うようになった。組んだ柔道しか教えていなかった。離れた柔道も志向研究していこう。要は当て身で殴ったり、剣の術理を入れたり、何でもありの柔道を目指そうと言う考えである。すべての武術の要素を含んでいるのが昔の柔術で、嘉納先生はそれを全部柔道に持って行こうと考えていた。嘉納先生は植芝先生の合気道を観て、「是れが理想の柔道だ」とも言っていたわけでしょう。楊心流の覚悟の巻きにも「我が術に殺しなし」と、柔術はすべて生命を尊重して、殺傷を否定する方向に向かっている。柔術の伝書を調べてみても「不殺」という思想は出てくるけど、それでは当て身を具体的にどうすればいいのか。天神真楊流と起倒流を修めていた嘉納、植芝の両先生である。嘉納先生は講道館柔道に「古式の形」を残しましたが一挙手一投足いじらずに残したのは起倒流の形だった。起倒流の中に当て身はなかった.でも甲冑武術だから虚倒「こだおれ」の技の中に、実は当て身の術理があることを発見する。踏ん張らずに、相手の力をさらりと流すような術である。富木先生の気持ちを忖度(そんたく)すると最後のお弟子であった佐藤忠之(TadayukiSatou)先生曰く(いわく)、学生たちは、とかく試合ばかりしたがりますが、本来の富木先生の方針に従うなら4年間みっちり稽古してやっとひと試合、本当はそれくらいの密度のものなんです。富木先生曰く、試合は「態度の真剣」で形の練習は「技術の真剣」と言うことである。形の練習では技術が実際に使えるように、有効な技術であるように真剣に練習しないといけない。

当無電塾では「形で投げ形で投げられよ」と形稽古を墨守しております。形からはいるので、受け身ができなくても誰でもいつからでも始めることが出来ます。又柔術から始めるのではなく、「合氣の技から始めるので痛く(関節など)はありません。」今まで怪我は皆無であります。堀川幸道先生の早稲田大学での講習会(警視庁、養神館を訪問し演武)の流れが後年、岡本正剛先生がここ試される大地北海道。北見から東京に進出することにつながった。飯田が大東流無傳塾を立ち上げしたときに六方会の岡本先生にご挨拶に伺った折り、「これから二人で堀川先生を世に出していこうネ」と言ってくださった。富木先生曰く「術より入りて、道に至る」我々は武術と言う技術を通して、人生の道を勉強するのだ。正しくこのことが「礼に始まり礼に終わる」ことにつながるのである。堀川先生曰く、大東流は合氣があるから強いのだ。

修行三昧

後技:捕縛術二人同時合氣前方投げ19427(77)
本来はバーンとぶつけるのが本来の技です。だが今風にやるとぶつけると危険なので投げるときに気を遣って投げています。合氣が掛かって二人はふついて硬直状態(極め固め)になります。是れが内の流儀(無傳流)の極め固めになります。


座取:合氣絞り三人同時投げ

内の流儀である「力を出さない 力を伝えない 何もしない」の具現化がこの技になりました。
もっといい合氣をつくろう
この技をもって無傳の合氣(Daito-ryu muden no aiki)と命名し、初山別 Mystars System に登録(2014.6.5)しました。
大東流無傳塾飯田の師匠である永世名人位免許皆伝師範堀川幸道翁が米寿の祝いの御席で演武されたこの技を再現しました。これが本物の合氣であります。植芝盛平翁は態(わざ)とらしいものこそが本物といっておられます。これが体操で言うところのウルトラCという技に当たります。

合氣足払い投げ17427(77)
合氣が掛るとYawara(柔)とは異なり容易く投げることが出来ます。
バターンと倒れる(Yawara)のではなくもんどり打って宙に舞い投げられる。片や取りの姿勢は崩れることなく突っ立っています。これが合氣の優位性になります。

2021年9月10日

いい氣 いい出会い いい仲間づくり
Good energy  Good enccounters Good relationships
合氣護身術大東流無傳塾
塾長・最高師範 飯田 宏雄