高木美帆。その一蹴りに賭ける
北京冬季オリンピックで3つの金メダルが期待されるスピードスケート女子日本代表のエース高木美帆(27)の物語である。この種の競技において彼女の得意とする中長距離(1500m)は体格と体力で圧倒してきた外国選手たちが有利である。ではどう戦うのか。中学3年生(15)で初めてオリンピックに出場したのはカナダのバンクーバーオリンピックからである。一貫しているのは理想の滑りを追い求めることである。(無傳塾は触れ即合氣)常にどうしたら速く滑れるかを追求していく、追い続ける、積み上げ、そして続けなければ自分のやりたいことも五輪ではできない。(無傳塾の上達の秘訣とは素直で稽古熱心にして長く続けることの3要素)彼女は種目の専門化が著しい昨今のトレンドの中、短距離にも挑戦している。(二刀流)短距離から中長距離までの4種目で競う2018年に世界オールラウンド選手権において日本人選手として初めて優勝している。(スキー上達の秘訣に長距離滑走がある)また2019年には1500mで世界記録1分49秒83を樹立している。

ここで瞬間出力の計測値を記しておく。
高木菜邦 17.44
佐藤綾乃 16.87
押切美沙紀16.91
高木美帆 16.82

もっと圧倒的な持久力があるわけではないし、突出したスプリント力があるわけでもない。自分のウイークポイントは、敢えて突出した能力が無いところだった。それでは何を武器にして戦っているのか。1500m競技での平均速度を他の選手との比較をしてみた。前半時速50キロでピークに持って行き、後半もそのスピードが落ちない45キロのトップレベルの滑りで終えている。この速さの秘密とはスピードスケートの刃の使い方にあった。インエイジからアウトエイジに切り換えるスムーズさである。彼女は氷を蹴るしぶきは出さない。(スキーでも抵抗力が高まらない、減速しないように平エイジ気味で滑る。)時速50キロでタイミング良く捉えていかなければいけない。一瞬しかない美味しいポイント、パワースポットがある。氷のトランポリンの様にポンと跳び上がってくる感覚がある。(踏み付け:真人の呼吸は足の踵でするが凡俗の人々の呼吸は喉で息をする。)ポンと氷からの反発力が生まれるタイミングは一瞬しかない。このパワースポットはどういう状態の時に生まれるのか。それは足首、膝、骨盤、頭が一直線になる瞬間にあった。〔体軸を創る〕是を一本の軸にしたことで一番体重が増す。ここが一番体重も乗るし脚の力も踏ん張れる所がある。この一瞬を捉える技術だ。〔省エネ〕

扨、飯田も少しはかじったスキー術でなぞってみよう。グルノーブル五輪で三冠(回転、大回転、滑降)を獲ったフランスのジャンクロード。キリーの滑りはとてもスープルであった。時速100キロ超を出す大回転、滑降において、スピードと斜面の斜度、斜面の起伏等に対応した身体の状態を常に斜面にスキー板を垂直(直角)にキープしていた。キリーはスキー板と雪面の斜度に対しいつも直角にキープしてスキーの上に乗っていたのである。彼のスキー操作(テクニック)はとてもしなやかで且つタフであった。それがスープルと言うことである。当時、飯田はSAJ(全日本スキー連盟)のスキーインストラクターであった。スキー大好き人間であった。スキーが上手くなりたい一心であった。キリーが三冠を獲った時に履いていたスキー板は、スキー板のトップの所が横に二本の線(黄色)が引いてあり上はネイビーブラックで裏の滑走面は黄色のデザインのスキー板(ダイナースター)であった。キリーみたいにスキーが上手くなりたいとの思いでキリーが履いていたブランドのスキーを買い求めて乗った。

札幌の冬季オリンピック(1972年)開催の前夜祭において札幌プリンスホテルで映画祭が催しされた。飯田はそれを観に行った時のことである。映画は終わりスポットライトがアップされそこに浮かび上がったのは飯田が憧れていたキリーであった。サプライズである。映画俳優のようなマスクをしていたキリーを思い出される。飯田もスキー板の真上に乗れ、棒立ちスキーを心掛けよう。足裏感覚を重要視していた。(立つこと技なり)親指と踵を一直線上に、足のサイズ23.5センチの長さで乗っていた。スキーの長さに頼ることなく重心を一点に絞りスキーの真上に乗る感覚(ピンポイント)を醸成していく練習をした。(形稽古)そうすることによりスキー板を最大限効率的〔省エネ〕に曲げることができた。

ピンポイントと言えば、無傳之合氣の触れると技になる合氣(触れ即合氣)の赤い糸(オーストリアのクルッケン。ハウザー教授の論文に準らえて)につながる。無傳塾の技は触れた瞬間にもう終っている、力が相手に伝わっていない(でも合氣が入る)ので投げられた本人は何をされたかがさっぱり分らないと言う。触れた瞬間に合氣で崩され(相手は崩されたという認識はない、是を薄い合氣という)
投げられて極め固められているという。無傳塾は触れ即合氣の進化を目指し日夜研鑽していく所存である。

終わりに2月4日から開幕の北京オリンピックにおいて高木美帆選手の秘技である「その一蹴りに賭けたい」そうしてアッパレ金メダルを取ってほしいと期待するものです。

ガンバレ美帆ちゃん

二人捕り:諸手摑み同時合氣二人投げ

二人が異なる力で掴まれるので、取はバランスを取るのが至難のわざ。取は微動だにしないで二人を同時に投げる。その術とは・・・
「無傳の息(むでんのそく)」と命名した。

MUDEN NO Aiki

18回演武会胸取り合氣投げ181027(76)
胸元を諸手にて摑まれたときの技です。
胸合氣の威力をご覧下さい。
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2022年1月28日

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合氣護身術大東流無傳塾
塾長・最高師範 飯田 宏雄